内視鏡治療

内視鏡で治療できるがんもある

内視鏡の先端には観察用のレンズ以外に、様々な器具を出すための口(鉗子口:かんしこう)があり、それを通じて止血や異物回収などの処置を行うことができるようになっています。大腸がんは早期で小さなものであれば、内視鏡の先端から器具を出して切除できる場合があります。実際、がんが粘膜の表面にとどまる場合(ステージ0)や、粘膜下の浅い層にあってリンパ節や血管に侵入していないがん(ステージIの一部)では、まずは内視鏡治療を検討します。

内視鏡治療の方法としては、茎をもったポリープを切除するポリペクトミーと、茎をもたない平らながんを切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR:endoscopic mucosal resection)があります(図2)。隆起型で、茎のあるポリープに対しては、内視鏡からスネアと呼ばれる金属の輪をかけて、高周波の電流を流して焼き切ります。これをポリペクトミーといいます。一方、茎がなく正常な粘膜に広がっている平坦な大腸がんは、大きさにもよりますが、病変に生理食塩水などを注入して浮き上がらせて、ポリペクトミーの要領などにより切除します。これを内視鏡的粘膜切除術(EMR)といいます。

図2 内視鏡治療

内視鏡治療のメリット・デメリット

内視鏡治療では、お腹を開かずに治療をすることができ、出血や痛みが少なく患者さんの負担が小さいという利点があります。また、がんの大きさなどによっては、2〜3日の入院が必要となることもありますが、多くの場合入院の必要はありません。

一般に内視鏡治療では手術に比べ合併症は少ないと考えられていますが、それでも合併症は全くないわけではありません。日本内視鏡学会では、治療中に内視鏡から多くの電流が流れて大腸に穴を開けてしまうこと(穿孔:せんこう)や、腫瘍を焼き切るときに、切り口から出血が起こることがそれぞれ1%以下にみられたと報告しています。

また、内視鏡治療でがんを切除した後、がんが残っていないかどうか、その組織を顕微鏡で観察します。その結果、がんが全て取りきれていなかったと判断される場合は、手術などの追加治療が必要となります。しかし、がんが早期の小さいうちに発見できれば、より負担の少ない内視鏡治療で治癒できる可能性が高くなります。なるべく早期のうちにがんを発見するためにも定期的に検診を受けることが重要です。