原因と予防 大腸がんの原因・リスク

生活習慣の変化と大腸がん増加の関係

かつて大腸がんは日本人には少ないがんと考えられていました。しかし、現在は考え方が変わってきています。ハワイの日系移民に結腸がん患者が日本人よりも多く、欧米の白人とほぼ同じであるという研究データが報告されました。これは、欧米の生活習慣(特に、肉食中心の食生活)の影響が大きいと考えられています。さらに最近では、アメリカに移住した日本人は、他の移住民よりも大腸がんにかかる率が高いことも報告されています。このことから日本人は大腸がんになりやすい体質である可能性が指摘されています。戦後の日本の大腸がん急増の背景には、少なからず生活習慣の変化の影響を受けていると考えられています。

2003年、国際がん研究機構(IARC)*1は「食物栄養とがん予防」に関して、多くの仮説の中から、栄養や生活習慣の改善ががんを予防するのに、どのくらい確実性があるかを評価した寄与率を検討した結果を発表しています。その評価では、「過体重と肥満」は結腸がん・直腸がんのリスク因子として確実であるとし、またハムやソーセージなどの「貯蔵肉」もリスク因子となる可能性が大きいとしています。一方で、日本人を対象とした生活習慣要因と主要がんの関連の評価*2からは、「飲酒」、「BMI」*3は大腸がんとの関連がほぼ確実であるとし、「喫煙」は直腸がんのリスク因子としての可能性があるとしています。

遺伝的に大腸がんになりやすい人もいる

大腸がんは親・兄弟など直系の家族に大腸がんに罹った人がいる場合は、リスクが高まることが知られています。特に、「遺伝性非ポリポーシス大腸がん」と「家族性大腸腺腫症」と呼ばれる大腸がんでは、遺伝の影響を受けていると言われています。

「遺伝性非ポリポーシス大腸がん」は、多数のポリープの発生はなく、病態は普通の大腸がんと変わりありません。遺伝性非ポリポーシス大腸がんは3名以上の血縁者が関連がん(大腸がん、子宮内膜がん、小腸がん、腎盂・尿管がん)に罹患し、その他詳細条件を満たす場合には、遺伝子検査が行われます。

一方、「家族性大腸腺腫症」は、大腸に100個以上のポリープができる疾患です。両親のどちらかがこの疾患の場合、子どもが原因となる遺伝子を受け継ぐ確率は50%で、この遺伝子を受け継ぐと40歳ころまでに進行性の大腸がんになる可能性が高まります。家族にこの疾患の人がいる場合、より早いうちから内視鏡検査や遺伝子検査を受けることが勧められます。また、家族性大腸腺腫症の治療は、内視鏡によるポリープ摘除か全大腸を摘出する手術を行いますが、最近、薬によるポリープ発生の抑制など、発症予防という観点からの研究も行われています。

  • *1:国際がん研究機構(IARC:International Agency for Research on Cancer)は、世界保健機関(WHO)の外部組織。1965年WHO総会にて、発がんのメカニズム、疫学、予防等を研究する組織として設立。
  • *2:厚生労働科学研究費補助金・第3次対がん総合戦略研究事業(平成15-18年度)
  • *3:BMI(Body Mass Index):体重(g)を身長(cm)の 2 乗で割り、10 をかけた数。肥満度指数。